2024-06-13
おしゃれな障子にしたいけれど、どのようにすればいいのかよくわからないと考えている人は多いのではないでしょうか。
そこでこの記事では、おしゃれに障子を張り替えるアイデアを紹介します。自分の好みに合った張り替えができるように、障子紙でよく使われる素材の違いや張り替え方法も解説しますので、ぜひ参考にしてください。
そもそも障子とは、どのような目的で作られたのでしょうか。まずは、障子に関する4つの項目からそれぞれ解説します。
障子の特性は、光を室内に取り入れつつ外からの視線を遮ることが可能な点です。室内を明るく保つためにサッシ窓や縁側に設置されることが多く、間仕切りとしても利用できます。
さらに障子は、直射日光や冷気を遮ることで室内の温度調整に一定の役割を果たし、保温効果もあります。ただし、障子は光を透過させる性質上、完全なプライバシー保護はできないため注意が必要です。
障子の名前は「障る(遮る)」と「子(小道具)」の語から成り立っており、起源は平安時代に遡ります。
初めての障子は現在の襖と似た役割を持っており、それを「襖障子」と呼んでいました。そして、のちに「襖」として独立し、現在の障子の形態が見え始めるのはそれから約100年後です。
南北朝時代には和紙の生産が増え、障子が間仕切りとして広く使われるようになりました。南北朝時代に「明かり障子」と呼ばれたものが次第に「障子」と呼ばれるように変化し現在に至ります。
障子は、木製の格子枠に和紙を張り付けて作られます。和紙はかつて手作業で作られていましたが、現代では機械による生産が一般的です。使用される素材は和紙に限らず、パルプやレーヨンなど多様な材質が選ばれるようになっています。
また、耐久性を考慮し和紙に代わってプラスチック素材を用いた障子も登場しています。障子の和紙は経年変化や破損により定期的に交換する必要があり、張り替え作業は、後から容易に剥がせるように接着剤を使用して行われます。
障子は構造上さまざまな役割を果たします。主な機能としては、直射日光や風を効果的に遮ることです。室内の快適性が保たれるだけでなく、保温効果もあります。
また、障子は光を部屋の中に拡散させる特性を持つため、窓際に設置すると外部の視線を遮りながらも室内を明るく保つことが可能です。加えて、障子は可動式の間仕切りとしても利用され、空間の利用を柔軟に調整できます。
このように、障子はプライバシー保護や光の調節、空間の区分けを可能にする役割を持っています。
障子の張り替えに使用される主な素材は3つです。それぞれどのような特徴があるのかを解説します。
手すき障子紙は、楮(こうぞ)と呼ばれる植物を原料として用い、伝統的な手法で職人が一枚一枚丁寧に製造する障子紙です。
手すき障子紙は独特の質感と耐久性を持ち、内装に高級感を与えます。楮の含有率が障子紙の品質を左右する重要な指標とされており、40%以上含む障子紙は高級品として扱われ、強度と美観は優れているのが特徴です。
一方、楮含有率が20%から40%の障子紙は品質が劣るとされていますが、コストを抑えたい場合には適した選択肢となります。手すき障子紙を選ぶ際には、価格と品質のバランスを考慮することが重要です。
機械すき障子紙は伝統的な手すき和紙と異なり、機械を用いて大量生産されることでコストを抑えた障子紙です。楮を基本素材としながらも、植物繊維や化学繊維を加えることが多いため多様な特性を持ちます。
なかでもレーヨンを40%以上含むタイプは、化学繊維特有の光沢があり見た目も美しいですが、日光による変色が起こりやすいというデメリットがあります。しかし、強度が高く実用性がある点が強みです。
一方、パルプを80%以上含むパルプ障子紙は他の素材と比べて通気性に優れており、室内環境を快適に保つ効果があります。価格が手頃ではあるものの、耐久性や強度は若干低いためひんぱんな交換が必要になる可能性があります。
プラスチック障子紙は、耐久性とメンテナンスの容易さを兼ね備えた現代的な障子紙です。プラスチック障子紙は、和紙にプラスチック素材をラミネートするか、プラスチックのシートに和紙を貼り付けることで製造されます。どちらの方法も、従来の和紙障子紙より強度が高く破れにくいのが特徴です。
さらに、汚れが付きにくく、万が一汚れても拭き取りが容易なため日常の手入れが簡単になります。ただし、プラスチック障子紙の通気性が低い点には注意が必要です。その反面、通気性が低い分室内の温度調整がしやすく、冷暖房の効果を高める効果は期待できます。
障子おしゃれに張り替える3つのアイデアを紹介し、それぞれのアレンジについて解説します。
障子紙を活用したインテリアデザインは、多彩な色と柄で個性を表現できます。通常の白以外にも紫や水色、黄色、緑といったさまざまなカラーオプションがあります。
一色を障子全体に使用することも、部分的に利用することも可能です。また、色を組み合わせて使用することでさらに個性的な空間を創出できます。
和室には桜や紅葉、市松模様など、日本の伝統的な柄が入った障子紙を選ぶと部屋全体とうまく調和します。このような柄を選ぶことで室内に洗練された和の雰囲気をもたせつつ、自然光によって柄が際立ち、幻想的な景観を楽しめます。
障子に洋風の要素を取り入れることで、伝統的な空間に新しい息吹を与えられます。無地や伝統的な和柄だけでなく、近年では洋風のデザインを施した障子紙も豊富に揃っています。洋風障子紙を使用することで、モダンな印象の空間を創出することが可能です。
また、小物使いにも工夫を凝らすことが洋風アレンジのポイントです。たとえば、レースの生地やカラフルなマスキングテープを障子に加えるだけで、アクセントを加えられます。
障子の和の美しさを保ちつつ、洋のエッセンスを効果的に取り入れる方法としておすすめです。
北欧風アレンジの場合、障子に北欧デザインの布を張るとよいでしょう。布を障子に張ることで、従来の和の空間に新鮮な外観を加えることが可能です。
その際、白を基調とした布を選ぶことで、光を通す性質を活かして室内を明るく保つこともできます。
もちろん、北欧風だけでなく他の地域の文様や色彩を取り入れた布も魅力的です。布を使用することで、視覚的にも楽しめる空間を創出できます。
実際に自分で障子の張り替えする際の手順を紹介します。まずは、張り替えに必要な道具から解説します。
障子の張り替えには複数の道具が必要です。特に障子紙を選ぶ際は、いくつかタイプがあるので注意が必要です。
市販されている障子紙には両面テープタイプや、のりタイプ、アイロンで接着するタイプなどがあるため使用目的に応じて適切なものを選びましょう。
そのほかにも、以下の道具が必要です。
●障子紙はがし剤
●両面テープ
●のり
●カッター
●定規
●はがし用ヘラ
●スポンジ
両面テープやのり、カッターなどは障子用のものが販売されているため専用の道具を揃えましょう。
障子の張り替えを始める前に、まずは古い障子紙を丁寧に剥がす作業が必要です。障子の桟に障子紙はがし剤を塗布し、障子紙が柔らかくなるのを待ってから剥がします。
はがし剤が手元にない場合は、水を含ませたハケで障子紙を湿らせ、3〜5分放置した後にゆっくりと剥がす方法も効果的です。アイロンで貼られた障子紙の場合は、アイロンを使って障子紙を温めながら慎重に剥がしてください。
障子紙を剥がしたあとは、桟に残った紙やのりの残骸を取り除きましょう。残骸は接着不良の原因となるため、スポンジを使って丁寧に拭き取ります。
完全に取り除けない場合はサンドペーパー(粒度約200)で桟を研磨し、そのあとは研磨カスをきれいに拭き取り、桟を十分に乾燥させてください。
障子紙を張る前に障子を平坦な場所に設置し、すべての桟が適切に整っているか確認します。障子紙の取り付けは、まず最上端の桟に障子紙をテープで一点固定してから始めます。
その後、障子紙を1/3から2/3の範囲でゆっくり広げていきましょう。その際、障子紙が正しい面で接着されるように外側が接着面になることを確認してください。
また、障子紙が巻きグセではがれないように、事前に広げたり逆巻きにしたりして巻きグセを取り除くことが重要です。
このような細かい取り組みに力を入れることで、見栄えの良い仕上がりになります。
障子紙を固定するためには、桟に適切に接着剤を塗布する必要があります。まず、縦のすべての桟に専用の両面テープを貼ります。
テープを貼ったあとは、裏面の保護フィルムを剥がしましょう。障子の枠に段差がある場合は段差にも両面テープを貼り、障子紙がしっかり固定されるようにします。
両面テープではなくのりを使用する場合、のりをトレイに出し適量の水を加えてのりを伸ばします。水で薄めたのりは桟に均一に塗布でき、障子紙の固定に効果的です。市販されているチューブタイプののりも同様に使用できます。
障子紙を貼る際は、最上端の桟から始めます。横方向の両面テープの裏面にある保護フィルムを剥がし、障子紙をゆっくりと転がしていきましょう。
作業中は障子紙がたるまないように注意し、紙をピンと張りつつ慎重に一段ずつ貼り進めることがポイントです。障子紙を均等に貼ることで、見た目が美しく障子全体の均一性が保たれます。
アイロンタイプの障子紙を使用する場合は、貼り付ける前に桟の上をアイロンで加熱します。熱が障子紙を桟に固定させる役割を担うため、アイロンの温度とあてる時間には注意が必要です。
障子紙の貼り付け作業が完了したあとは、障子紙の密着を確実にするために中心部から外側に向かって桟を指で押さえます。そうすることで障子紙が桟に均等に固定され、空気が入る隙間がなくなります。
その後、障子紙専用の定規を使用して、障子の枠からはみ出た余分な部分を丁寧にカットしましょう。余分な障子紙をカットし終えたら張り替えは完了です。
最後の工程を丁寧に行うことで障子紙は美しく仕上がり、長持ちする効果も期待できます。
障子は光を取り入れつつプライバシーを保護し、空間の温度調整にも役立つ日本の伝統的な建具です。障子紙の主な種類には手すき紙や機械すき紙、プラスチック紙があり、それぞれ異なる特徴があります。
いずれも和柄や洋風、北欧風など、おしゃれにアレンジするさまざまな方法があります。単色でも多色でも部屋のデザインに適した柄を取り入れることで、一貫性のあるおしゃれな空間を実現できます。
障子の張り替えは「ゆたか畳」にお任せください。ご依頼いただいた作業は、全て千葉県内の自社工房にてベテランの職人たちが一つひとつ丁寧に仕上げています。障子紙の素材はもちろん、デザインに関するご相談なども無料で受け付けていますので、お困りのことがあればまずは一度ご相談ください。